2020年も多くの自治体が直面する「ふるさと納税」減少問題。
2019年3月27日に改正地方税法が成立し6月1日から施行され、泉佐野市を代表例とした過度な返礼品等を抑制しいずれの自治体も還元率を3割以下にすることや地場産品以外を返礼品としないなどの規制がはじまり、「ふるさと納税」の全面的な見直しに迫られた2019年でした。
2020年は新規制下により「還元率を武器にした価格競争で勝負すること」はできません。自治体や返礼品の背景にあるストーリーをPRし「共感」を生むことや、他の自治体との違いやオリジナリティの高さ(ユニークセーリングプロポロポジションの明確性)浸透率などの「ブランド」の力と、既存の寄付者とのコミュニケーションやキーワードを軸にしたSEO対策・リスティング・リターゲティング広告等のマーケティング力がふるさと納税者(寄付者)を増加させるために必要となると私達は考えています。
12月末、7つのポータルサイトを横断比較できる「ふるさと納税ガイド」を運営する株式会社カリーグズは「どんな返礼品が1番検索されているか」サイト内の検索窓をベースに同サイト内で注目を集めたキーワードとページを発表しました。
データを追っていくと規制が始まる前から一部の自治体では自主的に返礼品や制度を見直したため、制度変更前の駆け込み需要や、直接的な価値よりもユニークセーリングポロポジションを意識した行動が見受けられました。2020年以降の各自治体が策定するふるさと納税のPR戦略を立てる際、新規制前と後の両方が合わさった2019年のデータは参考となるはずです。2019年のデータから2020年のトレンドを探ります。
人気ページ
2019年1番見られたページは、何がお得かすぐに分かる返礼品の「還元率ランキング」だったとのこと。 「ワールドビジネスサテライト」や、「スーパーJチャンネル」などのニュース番組でも紹介されました。(https://furu-sato.com/total/value_rank )
検索キーワードランキング
検索1位「各務原市 ps4」
検索2位「各務原市 switch」
検索回数が多かったキーワード1位と2位は、ともにゲームに関する返礼品の検索とのこと。
各務原市には 株式会社日本一ソフトウェアが本社を置くことから、ps4やswitchのゲームソフトが返礼品として現在も多数提供されています。(2019年12月31日現在)
検索3位「米」
最近は1万円の寄付で10kg以上貰える銘柄米も増えてきたそうです。
検索4位「バルミューダ」 バルミューダは東京都武蔵野市に本社を置くプロダクトメーカーです。バルミューダ・ザ・グリーンファン(群馬県昭和村) バルミューダ・ザ・ライト(群馬県昭和村)バルミューダ ザ・トースター(福岡県直方市、大阪府熊取町、大分県玖珠町、佐賀県武雄市、佐賀県上峰町)バルミューダ ザ・ポット(大阪府熊取町、大分県玖珠町)バルミューダ ザ・レンジ(大分県玖珠町)等が返礼品として用意されていましたが、新規制下の現在、返礼品として用意している自治体はありません。
検索5位「家電」
家電もバルミューダと同じくお得感や利便性から注目を集めた返礼品でしたが新規制下では取り扱い品は大幅に減りました。
検索6位「うなぎ」
ふるさと納税でもらえる国産の美味しい「うなぎ」を探し求める方も多かったとのこと。 実際にANRのスタッフがお礼の品掲載数No.1のふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」で「うなぎ」を検索してみらところ2265件がヒット、今も人気があることを示しています。
検索7位「いくら」
ふるさと納税に関する調査(2019年4月実施)で頼んだ人の満足度が一番高かったのは「いくら」でした。調査結果もまさに検索に現れています。ふるさと納税ではちょっぴり贅沢な食べ物の人気を感じます。
検索8位「定期便」
定期便も人気の検索ワードとのこと。ふるさと納税「定期便」は、寄付した先の地方自治体から通常1度に来てしまう返礼品が、定期的、例えば数ヶ月に1回など決められた回数や野菜やフルーツなどの旬の時期に合わせて届くもの、ふるさと納税では一度に消費しきれない生物の返礼品が届いてしまうこともあります。便利に活用していきたいですね。
検索9位「パソコン」
家電に続いてパソコンも多く検索されたキーワードとのこと。 新規制下の現在はパソコンを返礼品としている自治体を探すのは難しい状況です。
埼玉県日高市のフィルムを手間なくスキャンできる5インチ液晶フィルムスキャナーや千葉県茂原市の日東造機 ハードディスク破壊機などパソコン関連機器や、千葉県野田市のPVCレザーパソコンケース(クラッチバッグ)などアクセサリーは豊富に用意されています。
検索10位「夏目友人帳」
「夏目友人帳」は緑川ゆきによる日本の漫画作品です。熊本県 人吉市からアニメキャラクターのぬいぐるみや貯金箱などの返礼品が提供されているとのこと、こうしたアニメファンが地方を支える事例のひとつといえそうです。
検索のボリューム、タイミングと関連キーワード ※1
総務省自治税務局市町村税課によるとふるさと納税の受入額及び受入件数(全国計)は、毎年伸び続けています。最近は増加率が高く、2018年にふるさと納税で集まった金額は約5127億円、控除適用者数は395万人と2017年にふるさと納税で集まった金額の約3653億円から約1.4倍の伸び、同年度控除適用者数約295万人から約100万人も伸び、倍率にすると1.3倍伸びました。ふるさと納税はまさにバブル期、地方自治体の運営担当者だけではなく、ふるさと納税サイト運営業者やPRエージェンシーにとっても大切な時期です。
(控除適用者数は1月1日~12月31日の年・受け入れ額は4月1日~3月31日の年度)
続いてGoogle Trendsとキーワード プランナー、そしてUbersuggestを活用し「ふるさと納税」と検索した人について調べてみました。過去12ヶ月間「Google」で「ふるさと納税」と調べた人は700万回以上でした。今度はふるさと納税ユーザーの情報が気になるところです。いつどこで検索された調べてみました。
新制度が始まる直前に駆け込み需要
2019年に1番「ふるさと納税」が検索された月は5月でした。約83万件が検索され、続いてのピークが2月と3月で約67万件でした。しかし4月は約45万人に落ち込みます。これは新制度は始まる前の段階で自主的に各自治体が2月、3月に規制を入れたことが響いたのかもしれません。気になる6月以降の推移ですが、6月に約55万件と5月から約30万件も検索ボリュームを落とし、7月、8月は更にそれぞれ約44万件と約10万件のダウンと駆け込み需要が高かったことを裏付けています。それでもふるさと納税自体はユーザーは返礼品ももらえることからお得な制度であることから、9月からは検索ボリュームも復活、毎月55万件検索されています。
地域では1位 東京都、2位 大阪府、3位 神奈川県、4位 愛知県、5位 兵庫県と大都市を中心に検索されており、令和元年度課税におけるふるさと納税に係る控除の適用状況(市区町村のうち控除額の多い20団体)と照らし合わせても納得の数字が出ます。ふるさと納税を利用し控が適用された人数が1番多い市区町村は横浜市で、2位 名古屋市、3位 大阪市、4位 川崎市、5位 世田谷区の順番です。これは東京23区のみ特別区として各区が市町村としてカウントされるのに対して、都以外(東京以外)は政令指定都市であって区が存在していても自治体単位は市となるためで、実際には東京都でのふるさと納税利用者数が他自治体を圧倒しています。 自治体別ふるさと納税受け入れ額については、ニュースでも話題となった大阪府泉佐野市が1番多く、2位 静岡県小山町 3位 和歌山県高野町 4位 佐賀県みやき町 5位 宮崎県都農町でした。今後新規制下で受け入れ額ランキングは大幅に変わってくることでしょう。それでも利用者数(寄付者≒控除適用者)が多い自治体の順位は大きく変わることはないはずです。利用者数も増えているため、上手にPR&マーケティングをすることが大切ではないでしょうか。特に既存の顧客を逃さず、顧客生涯価値を高めるロイヤルティーマーケティングは必要不可欠です。 新制度がはじまり「還元率」所謂「安売り」では勝負が出来なくなりました。特産品のブランド力が強くない地域や地場産業が弱い地域で頼っていた「姉妹都市」等の産品を活用した返礼品も利用することができなくなり、自治体の広報力や共感の力、ブランド力、そして定期便等の利便性や既存顧客とのコミュニケーションが問われる2020年になりそうです。自治体の担当者の皆さんは総合計画を基にふるさと納税についての戦略を立てていかなければならない大変な時期かと思います。ぜひ、担当者だけで悩まずPRエージェンシーやマーケティング会社にもご相談ください。2020年もふるさと納税で地方活性化へ、より多くの方にご利用いただけるよう、PR活動を支援させていただければ幸いです。。 私達、オール・ニッポン・レノベーションが拠点を構える御宿町へのふるさと納税はこちらから。 ※1 ふるさと納税受入額等の実績は、全地方団体(都道府県及び市区町村)の平成30年度(平成30年4月1日~平成31年3月31日)決算見込の状況 当記事はPRTIMESに株式会社カリーグズが配信したプレスリリースを基に、当社にて加筆したものです。
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